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学会賞

 2022(令和4)年度に「日本フェノロサ学会 学会賞(フェノロサ賞)」および「日本フェノロサ学会 特別功労賞(ピゲロー賞)」が創設されました。

 2025(令和7)年度、第4回受賞者は、下記となります。なお、授賞式は年次大会会場にて執り行います。
【第4回日本フェノロサ学会 学会賞(フェノロサ賞)・特別功労賞(ビゲロー賞)】
学会賞(フェノロサ賞)
 該当者なし

特別功労賞(ビゲロー賞)
 三木はるか氏(日本女子大学 学術研究員)

受賞者:三木はるか(日本女子大学 学術研究員)
受賞対象:論文「アーネスト・フェノロサ「美学」講義(1890年)― 近代日本のジョン・ラスキン受容史の視点から」(『美術史』192号、美術史學會」)
選考理由:本論文は、1890年にアーネスト・フェノロサが東京美術学校の美学講義において講じたジョン・ラスキンの美術論を取り上げ、近代日本におけるラスキン受容の観点から、フェノロサのラスキン論を再考したものである。フェノロサはバーバード大学で、ラスキンの盟友であるチャールズ・エリオット・ノートン教授に学び、東京美術学校での美学講義でラスキンをはじめとする美術論を講じた。三木氏は、岡倉覚三が通訳したこの講義の内容について、大村西崖の筆記ノートを読み解き、さらにフェノロサ帰国後に東京美術学校で教えた岡倉、久米桂一郎、岩村透についても、ラスキンの受容を丹念に追って明らかにされた。特に、ハーバード大学時代のフェノロサと、東京美術学校での講義を探り、再考した意義は大きく、フェノロサ、天心研究の領域を拡大し、新たな視点を取り入れた優れた論文として、ここに高く評価するものである。
受賞者略歴: 三木はるか(ミキ ハルカ) 神戸女学院大学、マンチェスター大学で修士課程を修了し、2021年に学習院大学で博士(美術史学)を取得。学習院大学客員所員などを経て、現在、日本女子大学学術研究員、および津田塾大学非常勤講師。




三木はるか氏と岡部会長

特別功労賞(ビゲロー賞)
 新関公子氏(東京藝術大学名誉教授)
受賞者:新関公子(東京藝術大学名誉教授)
受賞対象:著書『東京美術学校物語─国粋と国際のはざまに揺れて』(岩波新書) 2025年3月
選考理由:本書は、東京美術学校の波乱の歴史をたどりながら、明治維新以後の日本美術の西洋との出会いと葛藤を描き、フェノロサや岡倉天心の理想と活動を詳細に位置づけられた。その歴史叙述はさることながら、国粋と国際派の勢力争いの中、戦争へと突き進む時代にもまれながら、日本美術はいかに模索され、戦後の近代美術へ展開していったかという命題を、戦時下から戦後の終焉にいたるまで、意欲的に論じられた。本書の魅力は、加えて、筆者の巧みな文章力にあり、長年にわたる美術館の現場での実践と広い経験のうえに、ローカルな生地新潟県から国際的なフランス、ドイツまで現地の視点と体験をもとに、鋭い着眼点によって、美術に始まり文学、書にいたるまで、近世から現代におよぶ幅広い芸術と人物の多岐にわたり、かつ詳細に迫る筆力、胆力をもって描き出された諸著作の上に、本作が生まれている。奇しくも「物語」という書名は、筆者の読み手を魅了する文章力を表しているともいえよう。岩波新書という日本を代表する啓蒙書で、日本近代美術史におけるフェノロサの事績と意義を、本学会吉田千鶴子副会長が編纂した『東京芸術大学百年史』を始め、村形、山口歴代会長などの先行研究を尊重して考察を深め、広く紹介、出版したことは大きな功績であり、将来のフェノロサ研究の大きな基盤となったことは間違いない。特に啓蒙的な活動として、類例をみないものであり、その業績を高く評価したい。
受賞者略歴:新関公子(ニイゼキ キミコ)
1940年新潟県長岡市生まれ.1965年東京芸術大学大学院修士課程修了、東京芸術大学芸術資料館(現東京芸術大学大学美術館)に勤務(─1974年)。
2002年東京芸術大学美術館教授、現在名誉教授。専攻美術史。
2012年『ゴッホ 契約の兄弟─フィンセントとテオ・ファン・ゴッホ』(ブリュッケ、2011)で吉田秀和賞受賞。
主要著書に『「漱石の美術愛」推理ノート』(平凡社、1998)、『セザンヌとゾラ─その芸術と友情』(ブリュッケ、2000)、『森?外と原田直次郎─ミュンヘンに芽生えた友情の行方』(東京藝術大学出版会、2008)、『根源芸術家 良寛』(春秋社、2016)、『歌麿の生涯─写楽を秘めて』(展望社、2019)
翻訳書にエリック・シェーンズ『ダリ』(岩波書店「岩波世界の巨匠」、1992)、サイモン・ウィルソン『シュルレアリスムの絵画』(西村書店「アート・ライブラリー」、1997)など。




新関公子氏と岡部会長



過去の学会賞
2022(令和4)年 第1回日本フェノロサ学会 学会賞
2023(令和5)年 第2回日本フェノロサ学会 学会賞
2024(令和6)年 第3回日本フェノロサ学会 学会賞

学会賞について
1、学会賞の趣旨
 本学会の設立趣旨に貢献し、アーネスト・フランシスコ・フェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa、1853‐1908年)の生涯と業績、ならびに岡倉天心やビゲローなどフェノロサと関連のある人物、芸術(美術、文学、演劇等)、思想、社会等、そしてフェノロサが貢献した日本近代美術と文化財保護、さらにそれらから派生する多様な領域の学際的研究に成果のあった研究、活動を顕彰することを目的として、日本フェノロサ学会賞を創設いたします。

2、賞の内容
 以下の2賞とする。
・学会賞(フェノロサ賞)
・特別功労賞(ビゲロー賞) 

3、選考方法
 年度以前の3か年年度までに発表された、学会員による著作、論文、展覧会企画、創作・制作活動等を対象に、学会賞選考委員会が選考し、決定する。初回から第3回は10年前までの対象とする。ビゲロー賞においては、対象年度を特に定めない。学会賞選考委員会は幹事会のなかに置き、幹事会が兼任する。

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